-
抜け毛予防のための睡眠術。髪が育つゴールデンタイムとは
抜け毛予防というと、食事やヘアケアにばかり目が行きがちですが、見過ごされがちな、しかし極めて重要な要素が「睡眠」です。質の高い睡眠は、それ自体が最高の育毛剤とも言えるほど、髪の健康に深く関わっています。なぜなら、髪の毛は、私たちが眠っている間にこそ、最も活発に成長するからです。私たちの体は、眠っている間に「成長ホルモン」を分泌します。この成長ホルモンは、体の様々な組織の修復や再生を促す働きがあり、髪の毛を作る工場である「毛母細胞」の分裂を活性化させる、最も重要な物質です。この成長ホルモンの分泌が最も盛んになるのが、一般的に夜10時から深夜2時にかけての時間帯と言われており、「髪のゴールデンタイム」とも呼ばれています。この時間に深い眠りについていることが、健やかな髪を育むためには非常に重要です。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌量が減少し、毛母細胞の活動が鈍くなってしまいます。その結果、髪の成長が妨げられ、新しく生えてくる髪が細くなったり、十分に成長しきる前に抜け落ちてしまったりするのです。また、睡眠不足は「自律神経」のバランスを乱します。自律神経は、血管の収縮や拡張をコントロールしており、バランスが乱れると、交感神経が優位になり、血管が収縮して血行が悪化します。頭皮の毛細血管は特にこの影響を受けやすく、血流が滞ることで、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届かなくなってしまいます。では、抜け毛予防のための「質の高い睡眠」を得るためには、どうすればよいのでしょうか。まず、就寝時間をできるだけ一定にし、体内時計のリズムを整えることが基本です。寝る1〜2時間前には、ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、心身をリラックスさせましょう。逆に、寝る直前の食事や飲酒、スマートフォンやパソコンの強い光を浴びることは、交感神経を刺激し、眠りの質を低下させるため避けるべきです。毎日7時間程度の睡眠時間を確保し、髪のゴールデンタイムを有効に活用すること。それは、お金をかけずに今日から始められる、最も効果的な抜け毛予防策の一つなのです。