「育毛シャンプー」という言葉をよく耳にしますが、具体的に普通のシャンプーと何が違うのでしょうか。薄毛や抜け毛に悩む方にとって、シャンプー選びは重要なポイントの一つです。まず理解しておきたいのは、日本の薬機法(旧薬事法)において、「育毛シャンプー」というカテゴリーは厳密には存在しないということです。一般的に「育毛シャンプー」と呼ばれている製品の多くは、「スカルプシャンプー」や「薬用シャンプー」に分類され、その目的は「頭皮環境を整えること」にあります。普通のシャンプーの主な目的が、髪の汚れや余分な皮脂を洗い流し、髪を清潔に保つことであるのに対し、いわゆる育毛シャンプーは、それに加えて頭皮の健康を重視した成分配合や処方になっている点が大きな違いです。例えば、頭皮の炎症を抑える成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)、血行を促進する成分(センブリエキスなど)、保湿成分(ヒアルロン酸、コラーゲンなど)、皮脂の過剰な分泌を抑える成分などが配合されていることがあります。また、洗浄成分にも違いが見られます。一般的なシャンプーに使われる石油系界面活性剤は洗浄力が高い反面、頭皮に必要な皮脂まで奪いすぎてしまう可能性がありますが、育毛シャンプーの多くは、アミノ酸系やベタイン系といったマイルドな洗浄成分を使用し、頭皮への刺激を抑えるように配慮されています。つまり、育毛シャンプーは、直接的に髪を生やす「発毛効果」を謳うものではなく、あくまで健康な髪が育つための土壌である頭皮環境を整え、抜け毛を予防したり、フケやかゆみを抑えたりすることを目的とした製品と理解するのが適切です。