AGA(男性型脱毛症)の悩みで皮膚科を受診した場合、どのような診察や治療が行われるのでしょうか。まず、皮膚科では医師による問診と視診が基本となります。問診では、いつ頃から薄毛が気になり始めたか、どのような症状か、生活習慣、家族歴、既往歴や服用中の薬などについて詳しく尋ねられます。これらの情報は、AGAの診断や治療方針を決定する上で非常に重要です。視診では、医師が頭皮や毛髪の状態を直接観察します。薄毛の範囲やパターン、髪の毛の太さや密度、頭皮の色や炎症の有無などをチェックします。必要に応じて、マイクロスコープという特殊な拡大鏡を使って、毛穴の状態や毛髪の太さなどをより詳細に観察することもあります。これらの診察結果に基づいて、医師はAGAであるかどうか、そして進行度を診断します。AGAと診断された場合、主な治療法として「薬物療法」が提案されます。代表的な内服薬としては、AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制するフィナステリドやデュタステリドがあります。また、外用薬としては、発毛効果が期待できるミノキシジルが用いられます。これらの薬剤は、医師の処方が必要であり、効果や副作用について十分な説明を受けた上で治療が開始されます。治療期間は、効果を実感するまでに通常3ヶ月から6ヶ月程度、より明確な改善を目指す場合は1年以上の継続が必要となることが一般的です。また、薬物療法と並行して、生活習慣の改善指導(バランスの取れた食事、質の高い睡眠、ストレスケアなど)や、適切な頭皮ケア方法のアドバイスなども行われます。皮膚科でのAGA治療は、医学的根拠に基づいたアプローチであり、自己流のケアよりも効果が期待できます。薄毛の悩みは一人で抱え込まず、まずは皮膚科医に相談してみることが、解決への第一歩となるでしょう。