現代社会と切っても切れない関係にある「ストレス」。この目に見えない敵は、私たちの心の健康だけでなく、髪の健康をも静かに、しかし確実に蝕んでいきます。抜け毛を本気で予防したいなら、ストレスを溜め込まず、上手にコントロールしていく術を身につけることが不可欠です。ストレスが抜け毛を引き起こすメカニズムは、主に二つあります。一つは「血行不良」です。強いストレスを感じると、私たちの体は緊張状態となり、自律神経のうち交感神経が優位になります。交感神経は血管を収縮させる働きがあるため、頭皮の毛細血管の血流が悪化します。その結果、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根に届きにくくなり、髪は栄養失調状態に陥って、抜け毛が増加するのです。もう一つは「ホルモンバランスの乱れ」です。ストレスは、ホルモンの分泌をコントロールする脳の視床下部や下垂体に影響を及ぼし、ホルモンバランスを崩す原因となります。これにより、男性ホルモンが過剰になったり、女性ホルモンが減少したりして、抜け毛を促進してしまうことがあります。では、この髪の大敵であるストレスと、どう付き合っていけばよいのでしょうか。まず、大切なのは、自分が何にストレスを感じているのかを認識し、それから距離を置く工夫をすることです。しかし、仕事や人間関係など、簡単に避けられないストレスも多いでしょう。そこで重要になるのが、日々の生活の中で、こまめにストレスを発散させる「コーピング(ストレス対処法)」を、自分なりにいくつか持っておくことです。最も手軽で効果的なのが「適度な運動」です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、気分を前向きにするセロトニンの分泌を促し、血行も改善するため、抜け毛予防には一石二鳥です。また、「趣味に没頭する時間」を意識的に作ることも大切です。仕事や悩みを忘れ、好きなことに夢中になる時間は、最高の気分転換になります。ゆっくりと湯船に浸かる、好きな音楽を聴く、友人と話す、あるいは、ただ静かに深呼吸をするだけでも、高ぶった神経を鎮める効果があります。ストレスをゼロにすることはできません。しかし、ストレスを感じたら、その日のうちに解消する。その習慣を身につけることが、あなたの心と、そして大切な髪を守るための、強力な予防策となるのです。