脂漏性脱毛症が脂っこいフケを伴うのに対しパラパラとした乾いた細かいフケが大量に発生し毛穴を塞ぐことで薄毛を引き起こすのが粃糠性(ひこうせい)脱毛症です。粃糠とは米ぬかのことを指しフケが米ぬかのように細かく大量に出る様子からこの名が付けられました。この脱毛症の根本原因は頭皮のバリア機能の低下とホルモンバランスの乱れにあります。洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていたり一日に何度も洗髪したりすることで頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまうと頭皮は極度の乾燥状態に陥ります。すると頭皮を守ろうとして角質代謝(ターンオーバー)が異常に早まり未熟な角質が剥がれ落ちて大量のフケとなります。このフケが皮脂と混ざり合って毛穴を塞いでしまうと毛根が呼吸できなくなり炎症を起こして髪の成長が阻害され抜け毛が増えてしまうのです。またアレルギー体質の人やパーマやカラーリングの薬剤が合わずに接触性皮膚炎を起こしている場合にも発症することがあります。粃糠性脱毛症の特徴は頭皮全体にフケが発生し全体的に髪が薄くなっていく点です。AGAのように特定の部位が薄くなるわけではありません。対策としてはまずシャンプーを見直すことが最優先です。洗浄力の優しいアミノ酸系のシャンプーに変え洗髪の回数を減らしたりぬるま湯で洗ったりして頭皮の潤いを守るケアが必要です。また頭皮用の保湿ローションで水分を補給することも有効です。さらにビタミン不足もターンオーバーの乱れに繋がるためバランスの良い食事を心がけることも大切です。もしフケとかゆみがひどく抜け毛が治まらない場合は自己判断で市販薬を使うのではなく皮膚科を受診して抗炎症剤やビタミン剤の処方を受けるべきです。フケは単なる汚れではなく頭皮からの悲鳴です。その悲鳴を無視して間違ったケアを続けると取り返しのつかない薄毛へと進行してしまうことを忘れてはいけません。病気の治療のために薬を服用した結果その副作用として髪が抜けてしまうことがあります。これを薬剤性脱毛症と呼びます。最もよく知られているのは抗がん剤による脱毛です。抗がん剤は細胞分裂が活発なガン細胞を攻撃する薬ですが同時に細胞分裂が活発な毛母細胞も攻撃してしまうため成長期の髪がダメージを受けて抜け落ちてしまいます。抗がん剤の種類によっては投与開始から数週間で頭髪だけでなく眉毛や体毛まで全て抜け落ちることもあります。しかしこれはあくまで一時的なものであり治療が終了して薬が体から抜ければ毛母細胞は再び活動を始め髪は生えてきます。抗がん剤以外にもインターフェロン製剤や経口避妊薬(ピル)抗凝固剤抗うつ剤痛風治療薬など様々な薬剤が脱毛を引き起こす可能性があります。これらの薬剤による脱毛は成長期脱毛と休止期脱毛の二つのパターンがあり症状の現れ方や回復までの期間も異なります。例えばピルの服用を中止した後に起こる脱毛はホルモンバランスの変動による休止期脱毛であり産後の抜け毛と同じメカニズムです。自分が服用している薬が原因で抜け毛が増えていると疑われる場合は自己判断で薬を中断するのではなく必ず主治医に相談してください。
粃糠性脱毛症は乾燥したフケが毛穴を塞ぐことで起こる