薄毛に悩む男性がインターネットや書籍で情報を集め始めると必ずと言っていいほど目にする単語がAGAすなわち男性型脱毛症です。実は成人男性の薄毛の悩みにおいてこのAGAが占める割合は全体の約九割以上とも言われており薄毛イコールAGAと考えても差し支えないほど圧倒的なマジョリティを占めています。しかし残りの一割には全く異なる原因による脱毛症が含まれておりここを履き違えると治療の方向性を誤るため注意が必要です。AGAの最大の特徴は進行性の疾患であるという点に尽きます。放っておけば自然に治るということは決してなく風邪や擦り傷のように自己治癒力で回復することは期待できません。何もしなければゆっくりとしかし確実に髪の毛が減り続け最終的には毛根が機能不全に陥り死滅してしまいます。その進行パターンには明確な特徴があり額の生え際からM字型に後退していくタイプ頭頂部からO字型に薄くなっていくタイプそして前頭部から頭頂部にかけて全体的にU字型に薄くなるタイプに大別されます。側頭部や後頭部の髪は男性ホルモンの影響を受けにくいため最後まで残りやすいというのもAGAを見分けるための重要なポイントです。AGAの原因は遺伝的要因と男性ホルモンの影響が複雑に絡み合っていますがそのメカニズムは非常に解明されています。具体的には精巣から分泌されたテストステロンという男性ホルモンが毛乳頭細胞内に存在する5アルファリダクターゼという還元酵素と結びつくことによってジヒドロテストステロンすなわちDHTというより強力な悪玉ホルモンへと変換されます。このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合するとTGFベータなどの脱毛因子が放出されヘアサイクルに指令が出されます。通常であれば2年から6年ほど続くはずの髪の成長期が数ヶ月から1年程度に極端に短縮されてしまうのです。その結果髪が太く長く育つ前に成長が止まり抜け落ちてしまうため残っている髪も細く短い産毛のような状態になってしまいます。これを毛のミニチュア化と呼びます。自分がAGAであるかどうかを判断するには家族歴を確認することや薄毛の進行パターンを観察することが有効ですが自己診断には限界があります。もしあなたが他の脱毛症ではなくAGAであるならば生活習慣の改善や市販の育毛シャンプーの使用だけでは進行を止めることは物理的に不可能です。医学的根拠のあるフィナステリドやデュタステリドといった酵素阻害薬を使用してDHTの生成を抑えることが必須となります。九割という数字に油断せず自分がその九割に含まれているのかそれとも例外的な一割なのかを見極めることがフサフサな未来を取り戻すための最初の分岐点となるのです。
男性型脱毛症AGAが薄毛全体の九割を占める冷徹な現実とメカニズム